循環器疾患と治療について

閉塞性動脈硬化症

動脈硬化が原因で、四肢(主に下肢)の血流障害を来すものを閉塞性動脈硬化症といいます。主に40~50歳以降に発症します。閉塞性動脈硬化症のある人は、下肢の動脈だけでなく、全身の血管にも動脈硬化を来している場合が多いです。

閉塞性動脈硬化症の症状

初期の症状は、下肢の冷感やしびれです。進行すると、ある一定の距離を歩くとふくらはぎや太ももが重くなったり、痛みを感じるようになります。ひと休みするとおさまり、再び歩くことができます(間欠性跛行(かんけつせいはこう))。さらに、安静時にも痛みが現れるようになり、靴ずれなどがきっかけで足に潰瘍ができ、時には壊死(えし)に至ります。

閉塞性動脈硬化症の治療

閉塞性動脈硬化症の診断は容易で手と足の血圧を測定するだけで診断がつきます。足の動脈硬化により血流が低下すると血圧が低下しますので、手の血圧よりも足の血圧が低下しているようであれば診断がつきます。専用の血圧測定器を用いれば現在の足の血流の状態も把握できますし、全身血管の動脈硬化度の判定もできます。また、造影CT等の体への負担が少ない検査で血流の低下している部位も診断できますし、血流低下の程度や部位に応じて色々な治療を選択することが可能です。

治療としてまずは、動脈硬化の危険因子である糖尿病、高血圧、高脂血症の治療を行うことです。また、禁煙はとくに重要です。歩くことにより側副血行路(そくふくけっこうろ)が発達し血行が改善するため、足の症状が出るまでは、休みながらも繰り返し歩くように心がけます。
寒冷刺激は足の血管をさらに収縮させ、血液の循環を悪くさせます。そのため、靴下、毛布などを使って保温に努めます。入浴も血行の改善に役立ちます。足はいつも清潔にしておきます。爪を切る際は深爪をしないようにし、靴も足先のきつくないものを選ぶようにします。
初期の冷感やしびれに対しては、血管を拡げる薬(血管拡張薬)や血液を固まりにくくする薬(抗血小板薬)を用います。足の痛みが強い場合には、狭くなった動脈にカテーテルという管を入れて、狭窄部分でバルーンを膨らませて内腔を広げたり、ステントいう金属製のコイル状の筒を植え込んで血管内を拡張したり、外科的なバイパス手術を行います。さらに重症になり壊死が進行した場合は、足の切断が必要になることがあります。