循環器疾患と治療について

不整脈

心臓は、微弱な電気刺激により1分間に60~90回の規則正しい収縮と拡張を繰り返します。
このリズムが速くなったり、遅くなったり、間隔が乱れたりするものが不整脈で、電気刺激の生成異常によるものと、それを伝える興奮伝導の異常によるものとがあります。前者は1分間に100回以上の頻脈性不整脈、後者の多くと前者の一部は1分間に40回以下の徐脈性不整脈です。
不整脈の多くは期外収縮、発作性頻脈性不整脈、心房細動、心房粗動、洞不全症候群、房室ブロックの6つに大別されます。それぞれの詳細は以下の通りです。

期外収縮

脈が途切れたり、リズムが速くなったりするものです。心臓が一瞬止まったり、脈が飛んだりするのがこれで、健康な人にもよくみられます。

発作性頻脈不整脈

突然、脈が1分間に150~200回という異常な速さで打つものです。心臓がドキドキし、冷や汗や胸の苦しさなどの自覚症状がみられます。

心房細動

細動とは、筋肉が細かく不規則に震えている状態をいいます。心房細動とは、まさに心房の筋肉がそのような状態になっています。症状としては、脈が多くなったり少なくなったりとリズムが乱れ、動悸や胸部に不快感が起こります。
また、心房は細動のために正常に収縮できず、血液を十分取り込みにくくなります。したがって、心臓の機能が低下して、心不全を起こしやすい状態になります。さらに、心房内の血流が悪くなるため血液が溜まりやすくなり、血栓ができることがあります。これが全身の血管に流れて移動すると脳梗塞などを起こすこともあります。

心房粗動

粗動とは、筋肉が粗く規則的に収縮している状態で、心房粗動では心房が1分間に約300回も収縮しています。そのため、動悸や胸部の不快感が現れます。多くの場合、異常に速いリズムは半分あるいは4分の1程度になって心室に伝えられます。この場合は、あまり症状がありません。

房室ブロック

房室ブロックでは、心房の正常な収縮のリズムが心室に上手く伝わらず、全身に血液を送る心室のリズムが遅くなったり、停止したりします。その程度は、軽いものから重症のものまで、1度~3度と分類されています。
1度程度の軽いものでは症状はほとんどありませんが、進行すると動悸などが現れます。
3度になると、リズムが1分間に30~40回以下と極めて遅くなります。リズムが一時停止することによって、脳への血流が途絶え、失神したり、めまいを起こしたりします。

洞不全症候群

右心房の上の方には、洞結節とう非常に小さな組織があります。心臓のリズムは、洞結節から心房を通って心臓全体に伝えられます。ですから、洞結節は心臓のリズムを支配している司令部のようなものといえます。この洞結節と周辺部に障害が起こった状態が洞不全症候群です。症状は、上記の房室ブロックとほぼ同じです。

不整脈の診断

不整脈は、手首で脈に触れてもおおよそわかりますが、正確な診断は心電図検査を行なって診断します。それで異常が確認できなれければ、24時間携帯するホルター心電図や負荷心電図検査を行ないます。また、血圧測定や胸部X線検査、心臓超音波検査などを行なって、原因となる弁膜症などの疾患の有無を調べます。